母が57歳で亡くなった年、境内で行われた菊花大会には、父の要望で造ってもらった母が好きな薄紫の千輪咲が出品された。父は花の中に母の写真をそっと置いて、写真を撮り「去り人の思いを秘めし紫の淡きに薫る裳裾(もすそ)いとほし」と詠んだ。私は父に「生きている間にそういう優しさを示してあげれば良かったのにねぇ」と皮肉を言った。今日は私が(母の亡くなった)57歳で迎えた命日。父が「お前にもやるよ」とくれて部屋にかけてある件(くだん)の写真を見あげ、「今の内に女房にやさしくしておこう」「母が生きられなかったこれからの人生を精一杯生きよう」「自分があの世へ行った時、母に堂々と笑顔で報告できる生き方をしていこう」なんて、しみじみと思った。生んでくれてありがとう。おかげさまで私は今、幸せです。
和尚ブログ ほうげん日記
2016年02月10日