10回にわたってご紹介してきた『サザエさん』秘話。いよいよ最終回です。いつだって五歳の時の目で世の中を見ていた長谷川町子さん・・・。私もそうありたいと思います。では、故村上正行アナのお話、最終回の始まり、始まりです。
--物事を受け止める感性を、研ぎ澄ましていただきたいんです。わずかな風のそよぎにも人より先に秋を感じる。だからこそですね――季節感なんていうと、何でもないようですけど、そういう方だからご商売をやっていても、来たお客さんが今何を考えているってことを、すぐに感じ取る――この触覚も同じだろうと思うんです。奥さま方が帰ってきたダンナさまをピッと見て、今このダンナさまが何を欲しているかを人一倍先に感じたら、これは素晴らしいセールスマン、商人になれるであろうし、恋人が何を考えているかをいち早く察することができたら、こんな素晴らしい恋人はないと思うんです。
あくまで、子供の時の感覚を忘れないこと、戻ること。これこそが必要だと思うんです。
ところがうっかりすると、逆に年齢とか、経歴とか、学問だとか、地位とか名誉とか――自分では誇りに思っていることが、実は誇りでも何でもなくって、その方の本来の美しさを隠してる錆(さび)になってしまうような場合が、よくありますよ。
長らくのおつきあいありがとうございました。明日からは通常ブログに戻って、一日生きていて坊さんとしての心のフィルターに引っかかったことを綴ってまいります。