浪曲を聞いていたり、講談の本ばかりを読んでいると妙な言葉づかいが日常の中でヒョイと出てきて困ることがある。先日知り合いが、一般的にはあまり考えられない言動をした。家に帰って家内の前でヒョイと口から出たのが「あんなことをするのは、何か魂胆があるに違いないんだ」という言葉だった。この場合の「魂胆」は、何かしら裏がありそうだという意味である。そして、「魂胆」という言葉は現在、日常会話で滅多に使う言葉ではない。私の言葉を受けて家内が言った。「魂胆なんて言葉は使わないほうがいいよ。”どういう魂胆があるものやら”なんて言うようり、普通に”何か考えがあるんだろうね”くらいでいいじゃない」--わははは。なるほど違(ちげ)ぇねぇ。刀は鞘に、槍は袋に納まっている大平の世の中なれば、言葉もなるたけ穏便なものを使いたいと思う。
和尚ブログ ほうげん日記
2013年11月14日