密蔵院の周囲には金木犀がたくさんある。朝、雨戸をあけると和製ジャスミンのようなかぐわしい香りが部屋の中に「ごめんください」と言っているかのように入ってくる。たくさんの小さな花は、まるで夕焼けの茜色をため込んだようだ。都会でも秋をしみじみと感じる、いい季節の変化だと思う。