実家のお寺のご詠歌講で、十五年ほど一緒にご詠歌を唱えていたNさんが百六歳で亡くなった。ご遺族からの「おばあちゃんのために、ご詠歌を唱えてほしい」とのご要望を受けて、面識のある講員さん六人と一緒に、甥が導師をつとめるお通夜の前に、Nさんゆかりのご詠歌三曲、想い出話をしながら唱えさせていただいた。素敵な別れの場をつくってくださったご遺族、そしてそんなご遺族を育て上げたNさんに感謝である。お引き物の中には紅白のお饅頭もあった。
人は確かに一人で死んでいく。しかし、やさしさに包まれた人の死(つまり生き方だが)は、あとに残る人たちに多くのあたたかな思いを残してくれるものだと、つくづく思う。「人は死んで終わり」ではないのだ。