夕飯の後、家内と犬の散歩にでかけた。お世話になった方が最近亡くなったからだろう。「最期のひとこと」という話題になった。家内はまだ決めていないという。私は二つのうちどちらかを言おうと決めている。
「無念じゃ」と「先に行ってるからね」である。無念は、もちろん「思い残すこと無し」の意味だ。先に行く場所は、あの世である。みんな後からやっくるから先に行って待っているという意味だ。
しかし、言ってから二つのことに気がついた。それは、最期のひとことは、今すぐに亡くなっても言える言葉だという点。つまり、今の自分の心のあり方であって、何十年も先に老いさらばえた時にそうなっていたいという心境ではないのだ。だから、皆さんも自分の最期に残したい言葉を考えてみるといいと思う。今の自分の人生に自分がどのような評価をしているのかがありありと見えてくるだろう。
まだ何も考えていない(られない)家内は、現在の心のあり方が定まっていないということだ。それはそれでいいと思う。でも、なるべく早く考えておいたほうがいいだろう。
もう一つ気づいたのは、認知症になったら、いくら考えていても言えないだろうということ。そのために、頭がはっきりしている間に、「私は最期にこういいたい」と周囲の人たちに伝えておいたほうがいい。そうすれば、いざという時に「最期は認知症になっちゃったけど、本当はこんなことを言い残したかったんだってさ」と真意を伝えることができそうだからである。