
手帳を一枚手前にめくった。
5月19日、宝島16時とある。宝島という名前が出てきた最初の日である。
小岩駅賭場の居酒屋「宝島」に16時に集合・・・であるはずがない。
以来30日。
この間、住職室は、見たこともないような、本に埋もれた。
「見たことがないような」というのは二つの意味がある。
一つは「読んだことないような」という意味。
もう一つは「パソコンの前にこんなにたくさん本を置いたことがない」との意味である。
本の背中のノリがはがれかけた本もある。
付箋がたくさん貼り付けられて、箒の代わりになるような本もある。
弘法大師、空海の膨大な著作の中から100近い言葉を、私の感性で抜き出し、言葉の前後や裏側を説明しながら、それを今の日本の問題として引き寄せる・・・。
90パーセントの作業が、さっき終わった。参考文献、「はじめに」を始め私が担当するすべての原稿を、メールで送った。あとは、編集サイドでの編集作業を受けて、若干の手直しだろう。
「心がすっきり心が軽くなる、般若心経」(永岡書店)を手がけてくれ、その後にご自身で「空海、黄金の言葉」(永岡書店・名取芳彦監修)を書いてくれた宮下さんから数日前に電話があった。
思わず愚痴を言った。
「地獄のような日々ですヨ。でも担当の人が長男と同じ歳。それも自分で担当する初めての本だから、これはといういい原稿をまずは出してあげたいんですよ」と言った。
「編集者は、名取さんの原稿の、最初の読者ですからね。そうしてあげてください」と言ってくれた。
見開き一ページに言葉と大意などが入るから、80ページほどについては私は、オリジナルの文章を書かなくても済んだ。
それでも、たった30日で、日常の行や、講習をこなしながら、よく書けたと思う。
朝寝坊をしても、この一カ月。家内はまったく嫌な顔をしなかった。
ありがたいと思う。
さて、次は、何だ。やればやっただけのことがある。
今日書いた「はじめに」にもふれたのだが、聞いたり読んだりしたことは知識となり積み重なり、それが山のようになれば学者にもなれる。
しかし、実際に身体を動かしてやったことは智恵となり、深くなっていくという。
深みが増したかどうかは自分ではわからないが、そんな気がするのは確かだ。
