我が家の長男は猫舌。熱いものは苦手である。したがって、食事の後に熱めのお茶をいれると、すぐさま冷蔵庫から氷を二つ、三つ出してきて、ポトン、ポトンとお茶の中にいれてしまう。
もったいないと思うが、いたしかたあるまい。
熱いお茶の中にいれた氷は、すぐに溶け始め、バランスを崩し、くりるんくるりんと回転してやがて溶けてなくなる。
そのころには、ゴクリと飲めるくらいお茶が冷めるという寸法である。
さて、ここのところの寒さで、脂肪が多い私の体は一度冷えるとなかなか暖まらない。そうして、夜、冷えた体で、お風呂に入る。
我が家の湯船は42度設定だが、そこへ表面温度32、3度の私が入るのである。
最初はとても熱くて入れぬが、我慢して身を沈めて、1分もするとへーきになる。これは体が慣れたのかと思っていたら、そうではない。上記のお茶に氷の例えよろしく、実際に湯の温度が低くなっているのだ。
お茶の氷は溶けてしまうが、私の体は溶けぬ。体は溶けぬが、一日の終わり、お湯の中では90㎏の体重もかーるくなり、気持ちも溶けるようだ--と言いたいのである。シャワー族にはわからぬ冬の贅沢である。