六地蔵
線

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和尚ブログ ほうげん日記

「夏よ さようなら」


夏よ さようなら

海の子は、夏を惜しんでまだ泳いでいる。
遠くの水平線に
すっかりやせてしまった雲の峰―。
つめたい水をくぐって顔を出した少年はよびかける。

「八月さん―
 ことしはひどかったじゃないか。
 まいにち まいにち カンカン照りで。
 そのかわり、来年は ちっとは雨も
 降らして おくれ」

どこかで、― スマン スマンという声が
聞こえた様な気がする。

少年は、見えない八月に
しずくを たらしながら 手をふっている。

北国の少女は、
夏を惜しんで まだ歩いている。
なごりの サビタの花を散らせて吹く 白い風―。
そのつめたさに おどろきながら
秋のあしおとに 耳をそばだてる。
そう―、山の頂きに ひとしずくの赤インキが 
したたり落ちたかと思うと、
紅葉は ふもとをめがけて 駆けおりてくる。
そして もうすぐ あたりは 白くなる。

「今年の夏も とうとう あえなかった。
だから、八月さん
来年こそ 誰か いい人 連れてきてね」

どこかで、―スマン スマンという声が
きこえた様な気がする。

少女は、見えない八月に
はずかしそうに 手を ふっている。

(作・元ニッポン放送アナウンサー村上正行さん)

※ ※ ※ ※ ※

天気予報によると、東京も今日が夏の終わりのようだ。
「お月見」の夜で、夏よ、さようならとは、なかなかオツだと思う。
そう思って、故村上正行さんの作った詩をアップさせていただきました(たぶんアナウンサー学校の教材です)。

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