
さて、人が亡くなってから一年の時が過ぎました。9番目の王さまのお名前は都市王(としおう)。
ここでのお調べは、「瞋(いか)り」について。いまでいえば、さしずめ、キレルってことです。怒りの感情に流されてしまって、心をコントロールできずに我を失って人を傷つけることも罪になります。
……ゲッ!私もヤバッ!と思っている方は今からでも遅くありません。つまらないことで怒りの感情がわきださないように、心を磨いていきましょう。
都市王の庁舎では、天人たちが、こんな歌を風誦(ふうじゅ)しています(文章にメロディーや抑揚をつけて唱えること)。
一年を過ぎてもまだ苦しみの中を転がっている。
娑婆の縁者よ、等しく福の因となる行いをせよ。
この亡者の六道の輪廻転生の世界、未だ定まらず。
経を読み、仏を礼拝してこの冥途から開放してやるがいい。
大きな善行や大きな悪行をした亡者であれば、とっくに輪廻転生しているが、中途半端な微善と微悪だからなかなか結審しないで、未だにこんな所に亡者はいるのだ。
縁者が仏を礼拝し、経を称える力で、報いとなるべき、この亡者の行くべき世界とその姿が定められるのだ。
遺族や患者の功徳をこの亡者に回向することで、この亡者を輪廻から開放してやれ。
トホホホ、「中途半端な善や悪をチマチマとやってきたから、こんな所にいるのだ」とは……結構キツイですね。
ここで弁護に立ってくれるのは、勢至菩薩。
自分が経験して悲しく、苦しかったことは、他の人が同じ悲しみや苦しみを受けないように、具体的な行動をとることをモットーとしている仏さまです。その勢いがとても強くて、「勢いここに至れり(これ以上強い思いはない)」ということで、勢至と名づけられました。
さて次回は、これより一年を経て、いよいよ十番目の王さま、五道転輪王(ごどうてんりんおう)の登場となります。弁護をしてくれるのは、阿弥陀さま。
夏も終わりに近づいたような気候ですから、ササッと通りすぎて、最終回へとつなげてまいります。
