六地蔵
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和尚ブログ ほうげん日記

十人の王の物語(その16)-浄玻璃ルーム-


 さて、いよいよ五七日。閻魔大王の王宮の場でございます。
 今回は(次回は知りません)、私の脚色を入れずに、忠実に教典を訳してまいりましょう。

 さて、閻魔大王の王宮はと、実はお城と見紛うばかり。周囲には鉄の柵が張りめぐらしてあります。四つの門の門柱のそれぞれには、暗黒天女と太山府君の首が載っていて、亡者の罪をスキャンするという、なんとも時代を先取りした監視網。

 このお城の中には、二つの院があります。院というのは塀で囲まれた建物という意味(病院、衆議院、密蔵院などでご存じでしょう)。

 一つを光明王院(こうみょうおういん)、もう一つを善名称院(ぜんみょうしょういん)といいます。

 最初に光明王院の説明があります。
 この光明王院の中殿(メインホールのことでしょう)の裏に、大きな鏡の部屋があります。真ん中に浄玻璃(じょうはり)の鏡という大きな鏡。そして八方を囲んで八つの鏡が備えつけられています。

 これらの鏡は、亡者の生きていた時のことを具(つぶさ)に映し出す鏡。
 まるでテレビ局のモニタールームであります。

 この部屋へ通された亡者は、髪の毛をつかまれて右回りに鏡の前をズルズルと引きずられながら、生前の罪の記録映像を目の当たりにすることになるのです。

 ここに、先の五官王の所にいた同生神の二人の童子が、見物にやってきて、驚き喜んでいいます。

「わぁ、僕が見ていた状況とおんなじだ」

「あたしが見てたのと、同じ場面だわ」

 罪を犯した時の場面が、周囲を取り巻く八台のカメラで写されていたのですから、亡者はもう何の申し開きもできようはずがありません。

あまりのショックに亡者はいいます。

前(さき)に業(ごう)の鏡、有りと知らば、あえて罪業を造らず。
鏡を鑑みるに身を削るがごとし。何ぞこれを男女(なんにょ)に知らせん。

――こんな鏡があると、前もって知っていれば、あんな悪いことはしなかったのに。こんな鏡を見せられたのでは身も細る、身も縮む思いですよ。どうして、娑婆世界の人々に、死後にはこういうことがあるのだと知らせないのですか。(ずるいですよ)―――

 閻魔大王はこの言葉を聞いて、「にゃるほど…」とあごひげを触り、一人考えている様子。

 すると、大王は「よおぉし、決めた。そうしよう」と右の拳で左の手のひらを叩きます。

 さて、閻魔大王は亡者の一言に、何を決めたのか?

 それは次回のお楽しみ。
 次回も教典になるべく忠実に訳してお届けします。

◇   ◇    ◇
 今日はお盆の棚経。
 昔は棚(修)行だとばかり思っていましたが、お盆の棚の前で拝むお経だから、棚経でいいのです。
 自転車に乗ってウンコラショ。走っている時はいいのですが、下りると汗が吹き出します。襦袢、白衣、改良服(という袖の短い衣)という三枚の重ね着ですから、仕方ありません。
 お盆だなあと五感で感じます。
 亡き人を、居ますがごとくおもてなし。
 よきお盆を、お過ごしください。
 合掌 密蔵院 芳彦(ほうげん)

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