
その14
鬼が亡者にいいます。
「お前ね、あの二人、誰だと思ってるの?」
「子供でしょ。誰の子供か知らないけど」
「あのね、あの二人。あれでも神さまだよ」
「へっ?子供の神さま……」
「あの二人はお前が生まれた時からお前の両方の肩に乗っていたんだよ。同生神(どうしょうしん)って言うんだよ。男の子は左の肩に乗って、お前さんのやって善いことは全てチェックしてたんだよ」
「すると女の子のほうは……」
「そう、右肩に乗って、お前…のやった悪いこと、ぜ~んぶチェックしていた。そしてそれを帳面に記入してたんだ。だからこの場で何を言おうと駄目なの。
あの二人がお前さんのいい事と悪い事は何でも知ってるんだよ。残念でした。がははは。ちなみにあの神さまたちが持っていた帳面はすでに『記録館』に掲出済だ。善い事帳と悪い事帳の二冊が一冊に束ねられて、ここの数値が添付されて、閻魔大王さまの手元に渡るって寸法さ」
亡者はがっくりと肩を落とします。
「今はああやって、ニコニコ笑って……ほら、お前に手を振ってるぜ。お前と一生を共にした神さまだからな。『この先元気でねぇ』なんて言ってるかもな」
ちなみにこの秤には、三つの目盛りがあるだけ。
分(ぶん)の目盛りだと、畜生道行きレベルの罪。
両(りょう)の目盛りだと、餓鬼道行き。
斤(キン)の目盛りを指したら、地獄行きに相当する罪の重さというのです。ただし斤の目盛りにも十六等級あって、色々な地獄を割り当てられます。
このように、五官王でのお調べは、数値が物を言う役所。そこには何の情もありません。
客観的に数値がはじき出されるのです。
やがて亡者は測定館から連れ出されて、正面の大きな宮殿へと誘導されて、五官王の前へ。
しかし、いくら情け容赦ない結果が数字で表されるお調べとはいえ、ここにも救いがないわけではありません。
広いホールの横にある巨大なカーテンが左右にサッと開くと、何か巨大な生き物がノッシノッシと姿を現します。
さて、いったい何者の登場か……?
それはまた次回のお楽しみでございます。
