六地蔵
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和尚ブログ ほうげん日記

十人の王の物語(その6)-威風堂々-


秦広王(しんこうおう)の取り調べ場に、威風堂々した姿を現したのは不動明王。
 今まさに、秦広王の手下の鬼神たちが、亡者の生前の「殺生」について詰問し、罪科(つみとが)あれば、鉄棒で体がへし折れるばかりに叩く寸前のところであります。
「鬼神たちよ、今しばらく、そこに控えよ。

 われは、大日如来の命を受けし者。
 衆生の煩悩を燃やすに背に火炎を生じ、また煩悩を切り裂かんがため右手に利剣を持す。
 また善き心が放逸せぬように左手に縄をからげて持つ。
 今ここに、生前殺生の罪科を犯せし者ども多数あり。しかしながら、わが子の血を食らう蚊を殺生する親あり、慈悲を現す花を咲かすため、いたしかたなく葉につきし虫の類を殺生する者もある。

 自身のわがままにより殺生の罪を犯せし者といえども、今日現在、亡者のために香を手向け、花を供養し、貴い経を読誦して、その功徳を回向する遺族、縁者あり。
 むやみに亡者の殺生を責むるなかれ。
 鬼神どもよ、よく聞け。たとえ秦広王の庭先にあって、かの王の許しを得ようとも、もし慈悲の心を生ずること無くば、お前たちも輪廻の時を迎えし時、その業によって、天上へ生ずること無しと思うべし。
 
 さて、亡者よ。良く聞きなさい。先程も申した通り、私の背負う火炎は煩悩を燃やす炎、利剣もまた煩悩を断ち切る剣、そして左手に持つ縄は善き心をつなぎとめる縄です。これ以後は、悪いことをしそうになったら、私の姿を心の中にしっかりとイメージしなさい。炎も剣も縄も、もともとあなたが持っている強い力なのだから。

 この先、あなたはまだ9人の王の手下たちによって、生前の行いについて取り調べられることになります。
 盗み、淫行、虚言、きれいごと、乱暴な言葉使い、悪口、物惜しみ、怒り、そして邪見についてです。

 その一つ一つについて、生半可な言い訳は通用しません。それは覚悟して置いたほうがいいでしょう。

 しかし、言い訳したり、開き直るような悪いことはしてはいけません。その時には、いつでも私の姿をイメージして、堂々と向き合いなさい。逃げることは不可能です。自分のしたことに責任を取らねばならないのは、どこの世界でも同じことです。自分で巻いた種が自分で刈り取らねばならないのです。

 初七日の王、秦広王よ。失礼した。これにてお暇(いとま)つかまつりますぞ」

 秦広王も不動明王に一礼し、合掌して見送りました。

 鬼神たちはそれを見届けると、再び亡者を責めたてました。しかし、お不動さまの言葉の効果もあったのでしょう。手加減する鬼神もいました。

 あたりは鉄棒で打たれ悲鳴をあげる者、ひたすら「ごめんなさい」と言い続ける者、香を手向けてくれた娑婆にいる遺族縁者に向かって合掌する者もいました。

 やがて、その騒乱も静かになると、亡者たちは次々と、川のほとりの宮殿前へと集合させられました。

 いよいよ二七日(ふたなのか)の審判の場であります。

※この『十王経』という教典は、中国で成立した教典です。一般的には、死後の世界を描きながら、生前の行いを慎ませる道徳的な見地から作られたとされています。したがって、一つ一つの描写が、仏教本来の教えに沿っているわけではありません。
 しかし、地獄について、あまりにも説かれなくなった昨今、一つの警鐘としてご紹介しても良いかなと思い、長々とつづっておりまする。

 ◇     ◇     ◇     ◇

 今日は19時から、歌舞伎町の「かけこみ寺」をお借りしての、超宗派のお坊さんたちの会議。一人の善良で誠実な青年僧侶が立ち上げた「対社会的行動をしよう」という会です。
 頼まれ僧侶の葬儀社へのキックバックや、生活保護者が亡くなった時の支援など、檀家寺の住職としては、なかなか踏み込めない活動を展開しようとしている、寺を(まだ家族も)持たない僧侶です。
 一般の方々からの坊さんに対する要望に、最も応えることのできる僧侶のうちの一人でしょう。

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