
あの世の10人の王はじめ、あの世でそれぞれ役目をもつ幾万の者たち――中には化け物も、鬼神もいた。彼らも地獄へ堕ちる者たちにさまざまなことを思い知らせる役目を負っているいわば、スタッフなのだ――を前に、お釈迦さまは続けました。
「誰でも人は命を終えようとすると、閻魔さまが、三人の部下を派遣しますよね。
一人は、肉体から魂を引き剥がすソウルプランダー(奪魂鬼)という鬼。
もう一人は、肉体から生命力を引き剥がすライフプランダー(奪精鬼)という鬼。
あとの一人が、ボディ―プランダー(奪魄鬼)という肉体を腐敗させていく鬼でしたっけ?」
閻魔さまは黙って首肯しました。それを受けてお釈迦さまは言いました。
「このうち、ソウルプランダーが、死んだ人の魂を縛り上げて死の国の入り口の木でできたトンネルになっている門までやってくる。
そうそう、そういえば、あの木は鋭いトゲがついた木ばかり。モモヤブリとか、ヒフサキとか、ホネオリなんて嫌な名前の木ばかりですよね。そのトゲもまるで両側が刃になっていてね、嫌ですね、あれは。
おまけに、あの木はヘンテコリンな声で鳴く鳥が二羽、住処(すみか)にしているでしょ。
一匹はなんと言いましたっけ?くちばしの長いやつ。ホトホト・ホトトトギスーって鳴く……」
群衆の中から「チリヌル尾鳥です」という声が聞こえました。
「そうそう、チリヌル尾鳥。ねぇ、あの鳥だってこちらの世界じゃサギっていう名前だったのにねぇ。あっちじゃ意地悪そうな目つきになっちゃって」
◇ ◇ ◇ ◇
さて、もう一匹の名前は? そして、その二羽が亡者に何をするか、むごい場面になります。十八歳以上限定の次回をお楽しみに(って、一番楽しんでいるのは私です)。
※この物語は「仏説地蔵菩薩発心因縁十王経」を基に書いています。かなり脚色していますが、基本的な流れは実際のお経と同じです。
