
お釈迦さまは観自在菩薩に教えてもらったことをアナンに伝えました。
「餓鬼たちの一番の望みは、食べ物を食べることじゃ。そのためにまず、餓鬼たちを集めねばならぬ。日の当たる所は苦手な者どもゆえ、夕方か、もしくは日中であれば日陰を作ってやらねばならぬ(日本では餓鬼壇と呼ばれる場所に、笹を5本立てて日陰を作ります)。
そこに食べ物を用意するのじゃが、まず食べ物は細かいものでなければならぬ(日本ではナスとキュウリを細かく切って、それにお米を混ぜます)。餓鬼たちは喉が細いからのぉ。加えて、口の中の火で燃えぬように清浄な水を用意し、それを禊(みそ)ぎをする時に使う萩、ミソハギの葉で、食べ物に注ぐのじゃ。こうすれば燃えないで済むのじゃ。
日陰を作り、食べ物を用意したところで、餓鬼たちを集める呪文を唱えよ。猫のマタタビ同然に、この呪文を唱えると、餓鬼たちが集まってくるのじゃ。
次に、餓鬼たちの食事に仏のパワーをふりかける呪文を唱えるのだ。
次に5人の仏さまに、餓鬼たちを改造してもらうのだ。
過去宝生如来(かこほうしょうにょらい)には、餓鬼たちにむさぼり心を捨てさせ心が穏やかになるようお願いせよ。
妙色身如来(みょうしきしんにょらい)には、餓鬼たちの醜い姿をふくよかな姿にしてもらうのだ。シンデレラを変身させるようにな。
甘露王如来(かんろおうにょらい)には、餓鬼たちに仏の教えをシャワーのようにあびせかけてもらうのだ。
広博身如来(こうばくしんにょらい)には、餓鬼たちの喉を広げて、満腹になれるようにしてもらえ。
そして、離怖畏如来(りふいにょらい)には、餓鬼たちを立ちなおらせてもらうのだ。
こうして、自分のことしか考えなかった餓鬼たちが、満腹になり、心に余裕も出来てくる。!”衣食足りて礼節を知る”のたとえ通りじゃ。
何十年もかけて醜い姿と心根になったのだが、こうした方法で、たちまちに普通の状態にもどることができる。
そこで、今度はその者たちに悟りに憧れる気持ちを起こさせ,仏の弟子として新たな出発をさせるのだ」
そして、これらの方法をアナンは実行しました。そしてその功徳により、三日の命と言われたアナンは、寿命を伸ばすことができたのです。
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『悟浄出世』に続いて、再び物語形式で読み進んでいただいた『焔口餓鬼陀羅尼経』の芳彦バージョンですが、次回は、こうしたことを土台にして、日本でどのような発展をとげて多くの寺院で行なわれている施餓鬼になったのかを、かいつまんで記(しる)してみます。
