
アナンは餓鬼に尋ねます。
「それにしても、お前のその姿はいったい……」
「俺の姿がなぜこんなになったか聞きたいのか?まあ、お前ぇの命も三日だからな。冥土のみやげに教えてやろう。最初のうちは俺だって、供養されないことを悲しんでいたさ。そして、これも自分が亡き後、供養されるにふさわしい生き方をして来なかったからだと諦めていた時期もあった。その頃はまだ、まともな身体をしていたさ」
餓鬼は往年の、未だ人間らしい心もっていた時の事を懐かしむような顔をしました。しかし、それも一瞬で、再び怒りの目つきに変わり、先を続けました。
「だが、供養されない期間が長くなるにつれて、自分を反省する人間らしい心も、いつの間にか、供養されないという恨みの渦の中に埋没しちまった。
その頃からだ、俺の肉体に徐々に変化があらわれ始めた。食べ物を食べようと思っても、うまく飲み込めなくなってきたのだ。
ある時、水に映った己の姿を見て驚いた。喉が細くなっていたのだ。試しに手で首をつかんでみたら、親指と一差指を丸めただけで、首を一周できた。どうりで物を飲み込めねぇわけさ。そのうちに、腹が膨れてきた。何も食べられないから、栄養失調になったのだ」
その後、餓鬼はこんなことを言った。
--供養してもらえない口惜しさと恨みが限界に達した時、それが怒りに変わった。その怒りの感情が口の中に火をともした。最初は小さな火だったが、いまでは口の中一杯に炎が燃え盛っている。空気を吸うたびに、喉が焼け、肺も焼けただれ、苦しくて、尚更俺を供養しない者どもへの恨みで、心は渦巻いていった。--
そこまで、言った時、餓鬼は急に苦しそうな顔つきになった。
さて、餓鬼の身に何がおこったのでしょう。
それはまた次回……。
