
アナンの前に飛び出して、ギラギラした目つきで、炎燃え盛る口内の奥から、その妖怪じみみた生き者はこう言います。
「ウハハハ。お前ぇが、アナンだな。そうだ、そうだ、まちがい無ぇ。ウヒャヒャヒャ」
アナンは驚愕の中にも、落ち着きをとりもどそうと必死で言います。
「いったい、お前は何者だ。なぜここに出てきた。私はお前のような者は知らぬ」
「ぎゃははは。お前が知らなくても、こっちはお前を知ってるのさ。ああ、先刻ご承知ってぇやつだ。可哀相にな、アナンよ。まったくお気の毒だ。ぎゃははははは」
「何がお気の毒なのだ」
「だってそうだだろう。お前ぇの命はな、あと三日なんだぜ。72時間だ。そんでオ・シ・マ・イなんだよ」
「どっ、どうして、お前にそんなことが分かるのだ。人の寿命など誰にもわからぬ」
「ケッ!馬鹿め。馬鹿なアナンよ。俺さまはガキだ。知ってるか。俺も昔は人間だった。だけど死んじまったら、誰も供養してくれねぇ。そういう亡者はな、餓鬼になっちまうのさ。ただし、餓鬼だってまるっきり最悪ってぇ訳じゃねぇ。お前ぇたちを病気にしたり、事故に合わせたりできる力があるんだ。供養してくれねぇ寂しさや苦しみの代償に、そういう力を手にいれたんだ」
「しかし、なぜ私なのだ?私の知っている人で亡くなった人は、私は精一杯供養しているはずだ。それなのに、私を死なせるとはお門違いであろうに」
「わからねぇ野郎だな。お前ぇの知り合いだとかそんなこたぁ関係無ぇんだよ。たまたま、お前なんだ。そんだけさ」
この後、アナンと餓鬼の会話によって、餓鬼の姿の顛末が語られます。
では、次回……。
