
13歳になる我が家の犬が、昨夜から足もとがまったく定まらず、嘔吐する異常行動……今朝早速獣医さんへ。
病名は「突発生前庭失調症」--耳の奥のすぐのところにある脳の機能が不調をきたすものらしい。老犬に多い症状で、放っておいても2、3日で自然に治るそうだ。
獣医さんの「目を見てみてくだいさ」の言葉に、懐中電灯で照らされた犬の眼球を覗けば、壊れた時計の秒針のように、微妙に回転運動をしている。
「これだと、頭の中は周囲の景色がグルグルまわって見えてるんです。だから平衡感覚がなくなって、足もふらつくし、吐き気もあるんですよ」
注射をしてもらって、薬をいただいて連れて帰ってきた。普段は外で飼っている犬だが、かわいそうなので座敷に入れた。劇場なら桟敷席である。
とにかく大酔っぱらい並みに足もとが定まらない。端から見たら泥酔犬である。だからすぐに座るのだが、これまた居心地が悪いらしく向きを変える。--そしてついに、禅僧よろしく壁に向かったまま動かなくなった。
なるほど、この犬にとって、見ても回転しないのは、無地の壁だけなのだ。他はすでべてグルグル回ってみえてしまうのである。
世の中が目まぐるしく回っている中で、変化しないものを見る……現代の我々の生き方を、今日、図らずも犬が教えてくれた。
私にとって、周りがくるくる回っても、変化しないのは、仏の教え、仏教なのだなと思った。大したことを教えてくれた我が家の犬に、ご褒美に何か美味しいものを食べさせてやりたいが、残念ながら吐き気で食べられない。がはははは。気の毒だ。
症状がおさまったら、何かプレゼントしようと思う。
