故(ゆえ)あって、二代目広沢虎造の『清水次郎長伝』の台本を読み返した(写真)。『石松三十石船道中』は、大阪八軒屋から淀川で伏見にのぼる船上でのエピソード。乗客の中にヤクザに詳しい人がいて、清水次郎長の話が出たとたん石松が自分のところへ呼んで言うセリフが「飲みねぇ、飲みねぇ。食いねぇ、寿司を食いねぇ、寿司を。もっとこっちへ寄んねぇ、江戸っ子だってねぇ」「神田の生れよ」「そうだってねぇ、そんなになにかい、おい、次郎長がえらいかい」。ここから次郎長の子分の話題に展開し、ついに石松の話になるが、石松本人だと気づかない旅人は、石松は強いが馬鹿で、東海道では娘が子守唄に歌っているほど馬鹿だと教える。♬お茶の香りの東海道/清水一家の名物男/遠州森の石松は/しらふの時は良いけれど/お酒飲んだら乱暴者よ/喧嘩早いが玉に疵(きず)/馬鹿は死ななきゃ癒(なお)らない♬。一説には、この浪曲が一世を風靡し、「馬鹿は死ななきゃなおらない」と言われるようになったそうだ。が、平成になると「馬鹿は死んでもなおらない」と言われるようになった。むはは。
和尚ブログ ほうげん日記
2023年02月25日