「住職、何、飲みたい?」「えっ?」「法事で本尊さまにあげるお供、住職が好きな飲み物にするよ。ビール?日本酒?それとも焼酎?」「いや、お供物なんだから、亡くなった人が好きだったものをあげなよ」「そんなことはわかってるわよ。先祖が好きだったものは仏壇にあげてるからいいの。私たちの思いの中継ぎをしてくれる本尊さまへのお供物っていうのも知ってるわよ」「よくわかってるじゃないか。だから、何でもいいんだってば」「だって、本尊さまに供えたあと、そのお流れを住職がいただくんでしょ」「そりゃ、そうだけど・・・」「だから、住職が飲みたいものを供えるから、言ってよ」「そこまで言うなら、正直に言うけどね、密蔵院の本尊さまは最近ワインがお好きなんだ」「へぇ、住職は最近ワインなんだ」「だから、私じゃないって。本尊さまが」「ハイハイ、わかってます」--ということで、一年違いで亡くなったご両親の7回忌から始まったこの不思議なお供物。13回忌、17回忌と進んで、昨日が23回忌だった。法事にしては遅い午後3時スタートは、「住職、そのあと、飲みに行くからね。一緒に来てね」という嬉しい魂胆あってのことだった。うはは。
和尚ブログ ほうげん日記
2020年03月01日