今日からゆっくり読もうと思ったのに、今日読み終わってしまったホーキング博士の『ビッグ・クエスチョン』。写真の付箋が物語るように、物理学者の書いた本に坊主の感性フィルターにひっかかる箇所がいくつもあった。二つご紹介しよう。ホーキング博士はガリレオが死んだ日のきっかり300年後に生れたので、それが影響を及ぼしたと考えるのは楽しいかもしれない(生まれ変わりとまでは言っていない)としながら、「(しかし)私の見積りによれば、その日には私のほかにも二十万人ほどの赤ん坊が生れている。そのうち、やがて天文学に興味を持つようになった人がひとりでもいたかどうかは知る由もない」--運命論の一部に、生まれ変わりを結びつけようとする人への皮肉である。もう一つは「今の私の仕事は、ものの仕組みを明らかにすることだ。--中略--物理法則を使って、宇宙の仕組みを明らかにしようとしている。仕組みがわかれば、その対象をコントロールすることができる」--仏教は私たちの苦の仕組みを解きあかして、それをコントロールしようとしている。「嫌だ」とか「チェッ!」「アッタマきた」などの苦の仕組みがわかれば、ネガティブな感情やマイナスの感情がコントロールできて、心おだやかな生き方ができると考えたのである。老婆心ながらつけ加えると、苦の解決には神や守護霊などに登場いただく必要はない。私たち自身の心の中に、解決できる力があるのだ。ぐはは。
和尚ブログ ほうげん日記
2019年11月29日