上皇のお言葉も、陛下のお言葉も、総理の言葉も、誠実さと未来への責任が感じられて良かったと思う。気になるのは、その言葉が「国事行為として閣議決定された」と報道することだ。名だたる名文家が草案を起こしたであろうことは想像に難くない。しかし、自分が思ったことを素直に述べるから生きた言葉になるのだと思う。かつて話の勉強をしていたとき、講師の村上アナが言った。「原稿なんか書いちゃだめですよ。原稿を自然に読むのはプロのアナウンサーがやっても難しいんです。原稿を読むなんていうのは、昨日作った弁当を今日食べるようなもので、新鮮さも味わい深さも、ありゃしないんです。『明日、起きたら女房に何て言おうか』なんて考える人はいないでしょ」--このたびの言葉の数々は「閣議決定された」と報道しなければ、より感激できただろうと思う。「閣議決定されない文章を国事行為の中で読むのは違法である」と言う人がいるとは思えないが、もしいたとしたら、その人は生きていくのが大変だろうと思った。
和尚ブログ ほうげん日記
2019年05月01日