お茶が趣味で道具も良い物を揃えていた高齢の檀家さんが亡くなって、今日がお葬式だった。遺品の中で古物商も引き取らなかった高さ60センチほどの大きな壺がお寺に奉納された。聞くと借金のカタにもらったものだという。「お宝鑑定団」に出したらいくらの値がつくのだろうと、遺族も私も1分ほど話が盛り上がった。「まあ、この壺の価値は、ロマンとしておきましょう」と私は提案した。物の価値はさまざまな思いと思惑の集合体である。いわば空(くう)なる存在である。ある人にとってはかけがえのないものでも、他の人にとってはどうでもいいものなのだ。亡き人がそれなりの思いがあって残した--そのロマンだけでいいと思う。※写真はネットから拝借。実物とはまったく違います。
和尚ブログ ほうげん日記
2019年01月19日