六地蔵
線

サイト内検索

アーカイブ:カレンダー

2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

アーカイブ:月を選択

和尚ブログ ほうげん日記

高枕

さて、先生から「お前が望むような世界にしてやっているのに、何を今さら、命だけはご勘弁などと勝手なことをほざいておるのだ」と言われた身勝手者。
「許してください。私が間違っておりました。自分の気に入らない者を殺してもいい世界ならば、誰かが私を殺してもいいことになります。上司や親が自分の思い通りになる世界なら、私の子どもや家来が私を思い通りにしていいということです。勝手に人の物を盗んでもいい世界になれば、他人が私の物を盗むのも勝手な世界となり、少しも油断ができません。日々のあけくれは、まさに修羅のちまたとなり、高枕はおろか石枕さえできぬ難儀な世の中になりましょう。私のような身勝手者がこの世にまだ生きていられるのは、有り難い結構な今の御世に生れたればこそ。働きさえすれば命を繋いでいける自由さに気づかず、今の今までこの世界を悪い世界と思っておりましたが、先生の手早き教えに、ここが安楽世界だと合点いたしました」
すると先生が言いました。
「お前に限らずとも、すべて世の人、有り難い御世に生れて、飢えず凍えず世を渡る結構なありさまにもかかわらず、さまざまの不平不満を述べ、己(おのれ)一人が利を得ようとして思うようにならず、身の勝手に合わなければ時節を恨み、人を恨んで、身を苦しめることこそあわれではないか。己が身の程を知り、足ることを知らなければ、安楽にはなれないのだ」
――ということで、天保時代の脇坂義堂師の講演録(『心学道話全集第一巻』)からの「望み通り」の一席、読み終わりでございます。ありがとうございました。

サイト内検索

アーカイブ:カレンダー

2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

アーカイブ:月を選択