車を降りると葬儀場の担当の人が素早くやってきて「おカバンをお持ちします」と言ってくださる。今年の春までは「大僧正になったら持っていただきます」と断っていた。かばんを持ってもらうほど偉くないからである。しかし、中には「そうおっしゃらずに、持たせてください」と食い下がる人も少なくない。察するに「一度断られたくらいで『はい、そうですか』なんて引き下がるな」と上司から言われているのかもしれないし、「住職にかばんを持たせて会場入りさせるな」と会社からきつく言われているのかもしれない。住職がかばんを持って会場入りする姿を上司が見て「何をしているんだ!」「いや、ご住職が自分でお持ちになると言ってきかないのです」などという会話をさせては申し訳ないので、状況によって「ありがとうございます。お言葉に甘えます」とかばんを持ってもらうこともいいと思うようになった。今日の葬儀でも、仕方なく持ってもらった。しかし、なんとなく偉そうである。だいいち、手持ち無沙汰である。かばんを持ってもらってサマになる坊主とはどんな坊主だろうと思案したが、これという答えが見つからない--ということで、社員の人が上司から怒られないように注意しながら、はやり自分で持つことにした---かばんの扱い方一つで悩む坊主がいるという話である。ぐはは。※写真はもちろんイメージです。
和尚ブログ ほうげん日記
2017年10月09日